雑学界の権威・平林純の考える科学

 「衛星放送を受信するためのアンテナが屋根に設置されている」というのは、よく見慣れた風景です。 衛星放送は、地球上で周回運動をしている人工衛星から電波放送が送信されるので、衛星放送を観るためには「放送衛星」の方角にアンテナを向け続けなければなりません。となると、衛星の動きに合わせてアンテナの方角を変えなければならないか?…というと、放送衛星は、赤道上空の高度約3万6千キロメートルを地球の自転と足並みを揃えて円軌道を描く静止軌道を描いていて、つまり、地球上から見ると空の一点で動かず止まっているように見えるというわけで、衛星放送受信用アンテナは「天空の(赤道の遙か上空に相当する、衛星が位置する)ある一点に向けてあれば良い、というわけです。

 こうした静止軌道を描く人工衛星の中で、最も巨大であると言われているのが米国の偵察衛星「ORION」シリーズです。 何しろ、直径が100メートルに達する…つまり、サッカー場(サッカーの競技スペース)と同じくらいの超巨大さなのです。 このORIONシリーズ、SIGINT- Signal Intelligence – 衛星で敵の通信やレーダーなどを傍受する偵察活動をしていると言われていますが、役割は謎に包まれてるものの、すでに静止軌道上にいくつも打ち上げられ地球上の「何か」を偵察し続けています。

 約7年前、アルミホイルで作った自作パラボラアンテナを使い、他者のインターネット通信機器(ルーター)から出る微弱電波を増幅してインターネット接続を行った(らしい)というインターネット・オークション・サイトへの不正接続事件がありました。 その事件で使われた「アルミホイル製の自作パラボラアンテナ」の大きさが直径30センチメートルなので、ORION衛星のパラボラアンテナ直径100メートルというのは直径にして333倍、面積にして11万倍にも達します!…ということは、もしも、直径30cmのアルミホイル自作パラボラアンテナが数百メートル離れた場所からルータに接続可能だったとしたら、ORIONなら(その11万倍程度の)赤道上空3万6千キロメートルの上空からも、あなたの自宅ルータに侵入可能かもしれません!?

 今週末の11月3日(Sun)と4日(Mon)、東京お台場の科学未来館で開催されるMaker Faire Tokyo 2013に「Twitter連動バブルジェットディスプレイ」を出展します(科学未来館一階,オリエンテーションルーム N-12ブース)。Twitter連動バブルジェットディスプレイというのは、Twitterで(専用アカウント @awatwi 宛に)つぶやくと、そのつぶやきを水の泡で描き出す”バブルジェットディスプレイ”です。コンセプトは、ふとしたときに生まれる「つぶやき」なんて、まるで小さな泡みたいな存在だから、そのつぶやきに似合った表示形態を作ってやろう!というものです。

 みずのあわ【水の泡】とは;
  ① 水の上に浮かぶ泡。
  ② はかなく消え去るもの。
  ③ 努力や苦心などがむだになること。
    「せっかくの苦労も―だ」

 Maker Faire は面白い奇妙な工学技術自作グッズがたくさん並ぶ祭典ですから、モノを作る・作ったものを見るのが好きな人は遊びに行くと面白いかもしれません。開催時間は、3日(日)は12:00~17:00、4日(月)は10:00~17:00です。

 3日・4日の両日とも、開催時間中は、ブース辺りで所在なくぼおっと立ってると思いますので、お気軽に声をお掛け下さい。また、ブース辺りに姿が見えなく・近くをウロウロ右往左往しているようでしたら、 @hirax, jun@hirax.netにでも、適当に声をお掛け下さい。

 それでは、11月2・3日はMaker Faire Tokyo 2013でお会いしましょう!

 「短いスカートが身体に悪影響を与えることが科学的に証明されました。」というポスターを、学校の構内で見かけました。 ポスターの内容は、「(膝位置より15cm短い)短いスカートは体温低下を生じさせ、体温低下は免疫低下や血圧上昇を生じさせる」というものです。このポスター、「短」「悪」という2文字が強調されていて、短いスカートを履いた瞬間、悪の組織から恐怖の毒電波が飛んでくる…ような感覚に陥ります(特に右下のポスターは、悪の組織に誘われ・地球征服の手先にされてしまいそうな雰囲気です)。

 スカート丈が短ければ、身体の露出面積は増えますから(「スカート丈の長短が衣服気候へ及ぼす影響について 聖徳栄養短期大学紀要 3, 27-31, 1971-03-20」によれば、身体の被覆率は、(半袖状態の)膝丈スカートで63%、膝上10cmスカートで57%、膝上20cmで52%となっています)、気温が低かったり・風を受ける状態では、短いスカートを履くと、身体から多少なりとも熱が奪われてしまうことでしょう。だから、寒い日には短いスカートは身体に優しくない…というのは、とても自然な話です。

 しかし、寒い日には短いスカートは(身体が冷えて)身体に悪いということだとすると、「寒くない暑い日であれば、短いスカート丈の方が身体にいい」ということにもなりそうです。
 たとえば、「(以前作成した)世界各国で調査された「気温と(その時期の衣服による)肌の被覆率」によると、気温が25℃なら肌被覆率は60%くらい、30℃なら50%ほどです。つまり、気温が暑くなると、衣服で身体を覆わず・露出するのが普通になります。
 このデータをスカートだけに適用してみると、気温25℃ならスカート丈は膝上5cmくらい、気温30℃ならスカート丈は膝上20cm強くらいでも自然かも…ということになってもおかしくありません。

 だから、コンクリートジャングルな日本の大都市で、夏の暑さが厳しくなっていく未来には、「長いスカートは身体に悪影響を与えることが科学的に証明されました」というポスターが学校港内に張られていたりするかもしれません。

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 …それにしても、私が中学の時代には、「長いスカート」が「不良・スケバン」の象徴・悪の象徴とされていました。それとは逆に、今の時代は「短いスカート」が悪とされている…というのは、何だか不思議な心地です。