雑学界の権威・平林純の考える科学

 中華料理屋などで、壁にたくさん貼ってある「金玉満堂」という”御札”を見たことがある人は多いと思います。 キンタマ?マンドウ…?と何だか口にするにも少し恥ずかしさを感じる、この「金玉満堂」という言葉…一体、どういう意味なのでしょうか?

 中国語の「金玉」には、日本語で言うキンタマ(金玉)、つまり多くの男性がおよそ2個ほど抱え持つ「キンタマ」という意味はありません。 男性がぶら下げる(日本語で言うところの)ゴールデン・ボールズは、中国語では「睾丸」です(”睾丸”の方は日本語と同じですね)。 中国語の「玉」は、(たとえば)宝石のように貴重で美しいものを表現する言葉です。 だから、「金玉」は、貴重なもの・美しいもの…それは「金銀財宝プレゼント」のような財宝を指すわけです。

 だから、「金玉満堂」という言葉は、決して「男性がぶら下げるキンタマを詰めた蔵!」とか「キンタマとったどー!」というような意味では無くて、「財産が蔵に沢山詰まるように、つまり、豊かになりますように」という「願いごと」なのです。

 ちなみに、「金玉満堂」と同じように、「逆さの”福”の字」も壁などに貼ってあることが多いものです。 この「逆さ福」は中国語で書くと「福倒了(福が逆さ)」と書きます。 そしてこの”福倒了”の発音は、「福到了」つまり「(中国語の)福来る」と同じなのです。 というわけで、「逆さ福」は、「発音が同じ」ということを通じて(つまり一種のシャレですね)、「どうか福が来ますように」という(これまた)「願いごと」を書き表したものです。

 「金玉満堂」に「逆さ”福”」…意外な言葉に、人の願いごとが込められていたりするのは、何だか面白いなと思いませんか?

 「高速道路を走行可能な”4人乗りバイク”」がある、と書くとそんなバカな!?と思われるかもしれません。 しかし、実は、高速道路を走行可能な”4人乗りバイク”は普通に実在します。 たとえば、右の写真は「タイの街をタクシーのように走り回る3輪バイクのトゥクトゥク」ですが、この トゥクトゥクは定員4人乗りで高速道をも走ることができるのです。

 このトゥクトゥクは(車の分類や守るべき仕様などを定めた)道路運送車両法上は、「側車付自動二輪車」に分類されています。 運転席に1人、後席に3人、つまり4人でドライブすることができる側車付自動二輪車です。 ちなみに、「自動二輪車」という名前ですが運転に必要な免許は普通自動車免許という意外性もあります。 (運転免許制度を定めた)道路交通法上は、トゥクトゥクのような乗り物の運転には自動二輪免許ではなく、普通自動車免許が必要だと決められているのです。

 トゥクトゥク(のような乗り物)が「自動車」のようでもありつつ「自動二輪」のようでもある…という「不思議な存在」であるため、他にも「意外」なことがあります。 トゥクトゥク(側車付自動二輪車)は、(自動二輪車という名前が付いていますが)ヘルメットをかぶる義務はありません。 ヘルメット着用を定めた「道路交通法 第七十一条の四」は、側車付自動二輪車には適用されないのです。

(大型自動二輪車等の運転者の遵守事項)
道路交通法 第七十一条の四
 大型自動二輪車又は普通自動二輪車の運転者は、乗車用ヘルメットをかぶらないで大型自動二輪車若しくは普通自動二輪車を運転し、又は乗車用ヘルメットをかぶらない者を乗車させて大型自動二輪車若しくは普通自動二輪車を運転してはならない。
 それと同時に、トゥクトゥク(側車付自動二輪車)は、(運転に必要なのは普通自動車免許ですが)シートベルトも義務づけられていはいません。 道路交通法 第七十一条の三もまた、トゥクトゥクには適用されないのです。
(普通自動車等の運転者の遵守事項)
第七十一条の三
 自動車(大型自動二輪車及び普通自動二輪車を除く。以下この条において同じ。)の運転者は、道路運送車両法第三章及びこれに基づく命令の規定により当該自動車に備えなければならないこととされている座席ベルト(以下「座席ベルト」という。)を装着しないで自動車を運転してはならない。

 高速道路を突っ走る(定員4人の)三輪車は実在します。 タイの街を縦横無尽に(しかも結構高速に)走り回るトゥクトゥクに乗り、オープンエアーな風を受けつつ、日本の街を走ってみるのはいかがでしょう?

 煙突がはき出す煙は風に沿って流れていきます。 そして、煙突から出た煙と同じように、空に浮かぶ雲も風に乗り流れていきます。 そんな「当たり前のこと」を思い出しつつ、(下に貼り付けた)動画を観て下さい。 そこには、「不思議な景色」が映し出されていることに気づくはずです。 …「上空に浮かび流れる雲」と「煙突からモクモクとはき出される煙」が、なぜか正反対の向きへと動いているのです。

 もちろん、煙突から出た煙が「風に逆らって動く」わけもありません。 煙突が立っている地上近くの風向きと、(雲が浮かぶくらいの高さの)上空の風向きが逆だ、というだけのことです。 …しかし、なぜ地上近くの風向きと上空の風向きが違うのでしょうか?

 この動画は東京湾の海沿い(海の上)で撮影されたものですが、そうした海岸沿いでは「海陸風(かいりくふう)」という風が吹いています。 地上近くでは、昼は海から陸へと風が吹き、夜は陸から海へと風が吹いています。 そして、その上空では(地上とは)逆向きの風が吹いているのです。 昼と夜の海水と陸上の温度の違いが、陸上と海上での上昇気流や下降気流を作り出し、それが地上と上空の風向きが逆…という海陸風を生み出すのです。

 実は、この「(東京湾の)地上と上空の風向きの逆転現象」は、近年ますます増大している!?という研究報告があります(参考:「 沿岸部における都市圏の拡大がヒートアイ ラン ドの形成」)。 「東京湾沿いの地面がコンクリートに覆われ・気温が上がり、…つまりヒートアイランド現象が進んだことで、東京湾沿いの「海陸風」が激しくなっている!?というシミュレーション報告がされているのです(下の画像は「 沿岸部における都市圏の拡大がヒートアイ ラン ドの形成」図.9,10ー東京大手町から三浦半島の観音崎までの高さごとの風向きを昔と今とで計算した結果ーから)。

 『昔の横浜・東京がいつも夜霧に包まれていた「理由」とは?』では、「日本が発展し、都会の地面がコンクリートに覆われ・気温が上がったことで、東京湾から夜霧が消え去った」という話を書きました。 それと同じように、今日書いた話は、「地上と上空では、風向きが180°違っている」という「東京湾近くの日常の景色」は、「都市化」によって加速されているかもしれない!?という話でした。