雑学界の権威・平林純の考える科学

 来週末4月26日(土)・27日(日)に幕張メッセで開催の「ニコニコ超会議3」のイベントのひとつ、「ニコニコ学会β 研究してみたマッドネス」で27日(日)に研究報告をします。新作も交えて(そうでなければつまらないし、そうしたいものだし)、3分ばかりの研究報告をするつもりです。

 27日(日)の13:00〜14:30 が本番「研究報告タイム」で、それとは別に、その前後の時間
 ・12:00-12:30魔術師たちのオフィスアワー3
 ・14:30-15:00魔術師たちのオフィスアワー4
にも、観客席後方で交流&サインOKという「誰にも知られてない」野生の研究者にとっては、なんか辛そうな(まるでAKB握手会で研修生が味わうような)壁の花タイムも過ごす予定です。

 15の発表の12番目が私の研究報告「15歳のときに知っておきたかった科学 〜 拝啓 ○×△が好きな十五の君へ」です。その後には、さらに超面白そうな、「DIY音響浮揚装置を作ってみた」「宇宙エレベーターモデル昇降機の開発」「日吉で跳んでみた 高度100mぐらい」と楽しい時間が続くので、お暇な方はぜひ遊びに来て下さい。

 東京都立高校の入試では、中3時の成績が内申点として使われて、入学合否は入試と内申点を組み合わせて決められます。 入試と内申点の考慮される割合は、(高校によっても違いがありますが)およそ半分程度なので、中3時の成績は高校入試を大きく左右することになります。

 昨年2013年末時点の都内公立中学校の評価(評定状況)が公開されていたので、東京都立中学564校の評価結果を、科目ごとの評価(1〜5)までの割合として図示してみた結果が下に貼り付けたグラフです。ちなみに、都内公立中学校の評価は生徒間の相対評価ではなくて、学習指導要領の目標に準拠した絶対評価です。

 まず大雑把に眺めてみると、教科間の違いに気づきます。音楽・美術・保険体躯・技術家庭といった実技を含む教科は、(評価が低い)1や2が少なく、3の割合が非常に高くなっています。ほぼ半分以上の生徒の評価が3になっています。その一方、英語などは、1〜5まで比較的広い分布になっていて、学力の差がついているような結果です。

 もうひとつ、興味深いのが学校・教科も区別した際の違いです。 最も多い評価が3であるケースも多い中で、最も多い評価が4となるような分布のケースも頻繁に見られます。 ただし、全教科の学校平均をとると、そのような評価の偏りはかなり少なくなるので、この違いは「学校(もしくは学校に所属する生徒)」に依存するのではなくて、「その学校のある特定教科」にだけ見られる特性のようです。 その学校に通う中学生たちが偶然「ある特定教科だけ」能力が高かったということは考えづらいですから、 これは「先生」によって決まるものなのかもしれません。 つまり、「ある教科を教える先生の教える能力が高くて、中学生たちの実力が高まった」とか、あるいは単に「先生の評価基準が少し異なっている」というような可能性です。 もっとも、ひとつの学校のひとつの教科を1人の先生が全て教えるというわけではないでしょうから、評価「先生個人の基準」に左右されるというよりは、「その学校の特定教科の先生たちの基準や能力」に左右されるのかもしれません。

 ちなみに、大きく分けると「評価の最頻値が3というケース」と「評価の最頻値が4というケース」という2種が多いようですが、(驚くことに)「評価の最頻値が2のケース」も見受けられます。 学習目標に対して最も多い達成度が「2」というのは、あまり望ましくない状態にも思えますが、そういう現状が(現在の都立公立中学では)ある程度存在せざるをえないのでしょうか。

 いずれにせよ、東京都立高校の入試合否を決める内申書評価は、先生個人…かはわかりませんが、生徒自身とは違う因子によって影響を受けていると考えるのが自然に思えます。…といったことを、桜季節も入学試験の季節も終わった今頃に、 昨年2013年末時点の都内公立中学校の評価(評定状況)を見ながら考えたのです。

 濡れた髪を素早く乾燥したい時の定番テクニックは、濡れた髪からタオルで水分をよく拭き取った後にドライヤーをあてる、吸水性の高い繊維を頭に巻きつつドライヤーをあてる、髪の根元から乾かすことで一旦乾かした箇所が再度濡れてしまうことがないようにする、といったところでしょうか。しかし、科学的計算によれば、髪を素早く乾かすことができる意外に効果的なテクニックが存在してるのです。…それは、指を開いた手を髪に差し込み、掌(てのひら)を素早く(ドライヤーの風を横切るように)左右に振りつつドライヤーの風をあてる、というものです。

 日本工業規格JIS9613(ヘヤドライヤ)によれば、ドライヤーは、吐出口から 30mm 離れた位置において70℃以上140℃以下の熱風が秒速5メートル以上の速度で吹き出すように作られています。といっても、髪にドライヤーの吹き出し口をあまり近づけると、髪の毛が100℃近くなり熱で変質してしまうので、現実的には15センチメートルくらい離れた箇所からドライヤーの風をあてるということになるでしょう(参考&右図:花王ヘアケアサイト)。すると、たとえば1200ワット程度のドライヤーでは、髪の毛の温度を80℃程度に抑えつつ乾燥させることができるようになります。

 15センチメートル離れたところからドライヤーで髪の毛に風をあてるとすると、秒速15メートルほどで熱風を吹き出すドライヤーの場合で、吹き出し口から15センチメートルくらい離れたところでは、熱風の風速はおおよそ秒速6メートル程度になります(参考&右図:ヘアドライヤーではないですが”HP162 ハンディタイプ包装機の(熱)風の吹き出し方を調べてみました”)。つまり、ドライヤーの吹き出し口での風速・温度が、15センチメートル離れたところでは大体半分になるという具合です。

 さて、指を開いた手を髪に差し込み、掌(てのひら)を素早く(ドライヤーの風を横切るように)左右に振るとどういうことが起きるでしょうか?掌を左右に高速でシェイクしてみると、大体20センチメートル程度の幅を秒6回程度で振ることができます。つまり往復で40センチメートルの距離を秒6回ということで、ドライヤーの風に対して(横切るように)秒速240センチメートルもの動きを髪の毛に与えることができます。この動きをドライヤーの風に加えてやると、秒速6メートルのドライヤーの風が秒速6.5メートル相当に変化します(風の向きに対して鉛直に振っているため、残念ながら6+2.5=8.5とはなりません)。

 そして、髪が約15グラムの水分を含んでいるものとして、温度80℃の熱風が①秒速6メートルで吹き付ける場合と②秒速6.5メートルで吹き付ける場合の乾燥時間をシミュレーションしてやると、前者が1分40秒(100秒)、後者は1分36.5秒(96.5秒)で髪の毛が乾くという結果になります。つまり、3.5秒ほど速く髪の毛を乾燥させることができる、というわけです。パーセンテージに直すと、乾燥時間を約4パーセント時間を短くすることができるのです。ということは、髪の毛が長くてドライヤーを5分(300秒)使っている人であれば、一回あたり12秒短くすることができる、…さらに1年365日あたりにすると、12×365=4380秒=73分=1時間13分も時間を有意義に使うことができる、というわけです。

 指を高速にプルプルと震わせるたけで、濡れた髪を素早く乾かすことができる!?(計算上はそうなるはず)という㊙テクニック、試してみるのはいかがでしょうか?