雑学界の権威・平林純の考える科学

 「何かあった時」日本国内でかける電話番号と言えば、110番か119番です。 起こった「何か」が怪しい?「事件」だったりしたならば、110番に電話をかけて警察を呼びます。 あるいはまた、「何か」が事故などの怪我した人などがいるものであれば、119番に電話をかけて救急車を呼んだりします。

 実は、110番や119番に加えて、さらに覚えておくと良い「緊急通報番号」があります。 それは、海上でのもしもの緊急番号118番です。 118番は、海上で「もしも」があった時のために、日本の海を守るザ・海上保安庁が用意している電話番号です。

次のような場合に通報してください
 ・海難人身事故に遭遇した・目撃した
 ・油の排出等を発見した
 ・不審船を発見した
 ・密航・密輸事犯等の情報を得た
など
 ご存じない方も多いかもしれませんが、海の上で「不審なもの」を発見したならば、その時には”覚えやすい”局番なしの3桁電話番号118番」に電話をかければ良いのです。

 ところで、「不審船を発見した」りした時、118番に電話をかけて、何をどう伝えれば良いものでしょうか?海上保安庁のサイトには、

「いつ」、「どこで」、「なにがあった」などを簡潔に落ち着いて通報してください。
という指示が書いてあります。 …しかし、「どこでなんて言われても、とにかく海の上!海の中!それだけしか、わからん!」と慌てふためいてしまいそうな気がします(GPS付き携帯電話から118番に通報すると、GPSで取得された位置が海上保安庁に通報されます)。

 いつか118番を活用する時のため、118番という電話番号を覚え…それと同時に海上で自分の位置を即座に伝える訓練をしておくと良いかもしれません。

 中華料理屋などで、壁にたくさん貼ってある「金玉満堂」という”御札”を見たことがある人は多いと思います。 キンタマ?マンドウ…?と何だか口にするにも少し恥ずかしさを感じる、この「金玉満堂」という言葉…一体、どういう意味なのでしょうか?

 中国語の「金玉」には、日本語で言うキンタマ(金玉)、つまり多くの男性がおよそ2個ほど抱え持つ「キンタマ」という意味はありません。 男性がぶら下げる(日本語で言うところの)ゴールデン・ボールズは、中国語では「睾丸」です(”睾丸”の方は日本語と同じですね)。 中国語の「玉」は、(たとえば)宝石のように貴重で美しいものを表現する言葉です。 だから、「金玉」は、貴重なもの・美しいもの…それは「金銀財宝プレゼント」のような財宝を指すわけです。

 だから、「金玉満堂」という言葉は、決して「男性がぶら下げるキンタマを詰めた蔵!」とか「キンタマとったどー!」というような意味では無くて、「財産が蔵に沢山詰まるように、つまり、豊かになりますように」という「願いごと」なのです。

 ちなみに、「金玉満堂」と同じように、「逆さの”福”の字」も壁などに貼ってあることが多いものです。 この「逆さ福」は中国語で書くと「福倒了(福が逆さ)」と書きます。 そしてこの”福倒了”の発音は、「福到了」つまり「(中国語の)福来る」と同じなのです。 というわけで、「逆さ福」は、「発音が同じ」ということを通じて(つまり一種のシャレですね)、「どうか福が来ますように」という(これまた)「願いごと」を書き表したものです。

 「金玉満堂」に「逆さ”福”」…意外な言葉に、人の願いごとが込められていたりするのは、何だか面白いなと思いませんか?

 「高速道路を走行可能な”4人乗りバイク”」がある、と書くとそんなバカな!?と思われるかもしれません。 しかし、実は、高速道路を走行可能な”4人乗りバイク”は普通に実在します。 たとえば、右の写真は「タイの街をタクシーのように走り回る3輪バイクのトゥクトゥク」ですが、この トゥクトゥクは定員4人乗りで高速道をも走ることができるのです。

 このトゥクトゥクは(車の分類や守るべき仕様などを定めた)道路運送車両法上は、「側車付自動二輪車」に分類されています。 運転席に1人、後席に3人、つまり4人でドライブすることができる側車付自動二輪車です。 ちなみに、「自動二輪車」という名前ですが運転に必要な免許は普通自動車免許という意外性もあります。 (運転免許制度を定めた)道路交通法上は、トゥクトゥクのような乗り物の運転には自動二輪免許ではなく、普通自動車免許が必要だと決められているのです。

 トゥクトゥク(のような乗り物)が「自動車」のようでもありつつ「自動二輪」のようでもある…という「不思議な存在」であるため、他にも「意外」なことがあります。 トゥクトゥク(側車付自動二輪車)は、(自動二輪車という名前が付いていますが)ヘルメットをかぶる義務はありません。 ヘルメット着用を定めた「道路交通法 第七十一条の四」は、側車付自動二輪車には適用されないのです。

(大型自動二輪車等の運転者の遵守事項)
道路交通法 第七十一条の四
 大型自動二輪車又は普通自動二輪車の運転者は、乗車用ヘルメットをかぶらないで大型自動二輪車若しくは普通自動二輪車を運転し、又は乗車用ヘルメットをかぶらない者を乗車させて大型自動二輪車若しくは普通自動二輪車を運転してはならない。
 それと同時に、トゥクトゥク(側車付自動二輪車)は、(運転に必要なのは普通自動車免許ですが)シートベルトも義務づけられていはいません。 道路交通法 第七十一条の三もまた、トゥクトゥクには適用されないのです。
(普通自動車等の運転者の遵守事項)
第七十一条の三
 自動車(大型自動二輪車及び普通自動二輪車を除く。以下この条において同じ。)の運転者は、道路運送車両法第三章及びこれに基づく命令の規定により当該自動車に備えなければならないこととされている座席ベルト(以下「座席ベルト」という。)を装着しないで自動車を運転してはならない。

 高速道路を突っ走る(定員4人の)三輪車は実在します。 タイの街を縦横無尽に(しかも結構高速に)走り回るトゥクトゥクに乗り、オープンエアーな風を受けつつ、日本の街を走ってみるのはいかがでしょう?