雑学界の権威・平林純の考える科学

 「使用比率が多い文字でインク使用量の少ないフォントを使えば、印刷代金を安くすることができるよ!」という米国14歳少年の研究(「フォント変えれば数百万ドルの節約に、米14歳が政府に提言」)がありました。「英語で頻繁に使用される5文字(e、t、a、o、r)に着目し、4つの書体で各文字に使用されるインクの量を調べて頻度を眺めてみたら、ガラモン・フォントを使えばインク消費量が大幅に減るということがわかったよ!」というものです。

 この自由研究が面白かったので、日本語フォントならどうなるかを大雑把に調べてみました。 やってみたことは、常用漢字に入っている1715文字を

  1.  ・ヒラギノ明朝 Pro W3
  2.  ・小塚明朝 Pr6N R
  3.  ・MS 明朝

で出力して、各フォントで「各文字に使用されるインクの量を調べて、各フォントでの”インク使用量”の頻度分布を描いてみた」のです。その結果が、右に貼り付けたヒストグラムです。横軸が”インク使用量”に相当して(注意!このグラフは、白画素数を数えているので、横軸右側がインク消費量が少なく、横軸左側がインク消費量が多いというものです)、縦軸が(横軸の”インク使用量”になるような)文字が各フォントでどれだけあるか、を示しています。緑色が”ヒラギノ明朝 Pro W3”で、青色が”小塚明朝 Pr6N R”、そして、オレンジ色が”MS 明朝”です。14歳少年の研究のような「頻度が多い文字」への重み付けはしていませんから、通常の文章中での”インク使用量”と一致するかどうかはわかりませんが、フォントが違うことで「どのくらいインク使用量が異なるのか」の目安にすることはできそうです。

 右上に貼り付けた結果グラフを眺めてみると、”MS 明朝(オレンジ色)”は比較的インク使用量が少なく、”ヒラギノ明朝(緑色)”と”小塚明朝(青色)”はほぼ同じで(MS 明朝より)インク使用量が若干多い、ということがわかります。また、ひらがなとカタカナだけで計算してみた結果も、やはり同様の結果です(右グラフ)。
 …というわけで、プリンタのインク代を安くしたいなら”ヒラギノ明朝”や”小塚明朝”でなく”MS 明朝”を使うとトクする可能性が高そうです。数パーセントの違いに過ぎないかもしれませんが、3パーセントの消費税アップを吸収するくらいの代金節約を、することもできるかも!?