雑学界の権威・平林純の考える科学

 コーラや醤油は、おそらく、多くの人の台所にあると思います。台所の調味料入れに醤油瓶が並んでいたり、あるいは、冷蔵庫のドアを開ければコーラが入っていたりするものです。そんな、どこの家にもあるコーラも醤油は、見た目は「黒く不透明な液体」です。コーラや醤油を透明なガラスコップに入れてみれば、ガラスコップの向こう側は、コップの中にある醤油やコーラに遮られて、見ることができません。

 たとえば、右の写真は、コーラをグラスに入れてみたところを撮影したものです。…やはり、グラスの向こう側はコーラに遮られて、全く見ることができません。しかし、実は、私たちが目で見ることができる光(=可視光)で黒く見えるコーラや醤油も、赤外線で眺めると、とても透明な姿に変わります。

 2枚目の写真は、同じグラスを、赤外線で撮影してみたものです。グラスに入っているコーラが驚くほど透明で、グラスの向こう側が、本当に綺麗に透けて見えることがわかります。「透明なクリアコーラタブクリア」が発売されたこともありますが、わざわざ特別なコーラを作らずとも、普通の(可視光では)真っ黒に見えるコーラも、赤外線の目で眺めて見さえすれば、クリアな透明コーラに変身するのです。

 こんな風に、可視光では色が濃く・不透明なものも、赤外線で眺めてみると色が消え・透明に見えるモノが意外に多かったりします。もちろん、私たちが目にすることができる可視光を遮るのと同じように赤外線も遮り、赤外線でも不透明になるものもあります。その逆に、可視光では透けて見えるのに、赤外線では不透明に見えてしまうものもあります(参考:赤外線で体中の血管を浮かび上がらせてみよう!)。

 ケータイやスマートホンなどでも工夫をすると、赤外線で眺めた風景を撮影できたりします(参考:iPhone 4を「赤外線カメラ」にする「裏」技テクニック)。可視光で見える風景と、赤外線が映る目で見える景色とを見比べてみれば、想像とは全然違う姿が見えてきたりして、とても面白いかもしれませんね。