雑学界の権威・平林純の考える科学

 名画の中には、描かれるものの配置が計算し尽くされたかのように見えるものが数多くあります。たとえば、右のフェルメールが描いた油絵 “Die Malkunst” は、画の中に描かれたものすべてが、補助線を引いてみると見事に黄金比(黄金率)に沿っていることがわかります(左図:黄金比配置を示した補助線テンプレート、右図:フェルメール “Die Malkunst”)。黄金比というのは、1:(1+√5)/2という比率で、この比に沿う配置は安定感や美しさを強く感じさせることが知られています。フェルメールの “Die Malkunst”は、部屋を飾るカーテン、描かれた女性、画家の体や腕が、すべて美しく黄金比にもとづく配置になっています。

 計算され尽くした「名画」は、過去の芸術の中にだけ存在するわけではありません。たとえば、私たちが毎日使うPCにインストールされているマイクロソフトOfficeの中にある、クリップアート画像の数々も、よくよく眺めてみると黄金比に忠実に沿った配置にされていたりします(右図)。海に走る波、波に乗るサーファー、背景に広がる岩場…画像中の素材が綺麗に黄金比に沿った配置になっています。あるいは、青空を背景に立つ鉄骨と、空中を走るローラーコースターが、見事に黄金比に沿った配置となっていることがわかります。

 

 何気なく使うOfficeクリップアートも、数々の名画と同じように、実は計算し尽くされた配置になっていたりします。…そんなことを考えながらOfficeクリップアートを眺めてみれば、Officeでの資料作りも「世界の美術館巡り」に思えてくるかもしれません。