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「近くのものがぼやけて見えなくなる」という老化現象を「老眼」と呼びます。 手に持ったモノを眺めるときなど、モノまでの距離が近いとぼやけて見えないので、モノを遠く離して眺めているお年寄りがいます。 あれが、老眼です。 …しかし、この老眼、お年寄りだけの専売特許ではありません。 実は、若い人も「老眼」になっています。 十代の頃からすでに、本人が気づかないうちに、老眼の症状が日々進行しているのです。

「眼がピントを合わせる能力」が年齢に応じてどのように変化するかを示したのが下のグラフです。

 

 

このグラフは、ぼやけずに(ものを)見ることができる距離(=合焦可能距離)の範囲をメートル(m)で表し、その「見ることができる距離(m)の逆数」が年齢に応じてどのように変化するかを示しています。 赤線は「(眼のピントを合わせることができる)最も近い距離」で、青線が「(眼のピントを合わせることができる)最も遠い距離」です。 つまり、このグラフは「赤線と青線の間の距離にあるものを眺めることができる」と見れば良いのです。 縦軸は距離の「逆数」ですから、たとえば、無限遠が見えるか見えないかは、1/∞=(縦軸の)ゼロが赤線と青線の間に入っているかを見ればわかります。 あるいは、10cm(=0.1m)の近さにあるものを見ることができるかなら、1/0.1=(縦軸の)10が赤線と青線の間に入っているかを、(横軸の)年齢に応じて眺めれば良いのです。

このグラフを見ると、赤線=ちゃんと見ることができる(最も近くのものまでの)距離が、十代の頃から日々遠ざかっていることがわかります。 眼のピントを合わせることができる範囲(赤線と青線の間の長さ)が年々狭くなっていくことがわかると思います。 若い内から、すでに老眼の症状は日々進んでいるのです。 そのことがわかるように、右上のグラフ縦軸を「どのくらい近く(cm)まで見ることができるか」に変え、15才から40才までを拡大して推移を眺めてみたのが、下のグラフです。 一年で5mm弱程度のスピードで、老眼が毎年進んでいることがわかります。 大学に入りたての新入生が10年経って博士課程を卒業しようとしている頃までには、4cmくらい老眼が進んでいるのです。

 

 

 

 

ところで、冒頭のグラフをもう一度眺めてみましょう。 このグラフを眺めると、とても「恐ろしいこと」に気づかされれます。 40代になった頃から急激に「近くが見えなく」なり(赤線が”遠く”になっていき)、50代半ばでは、「ピントを合わせることができる最も近い距離が1/0=∞を超える…すなわち、無限大ですら”近くて”(!)眼のピントが合わなくなってしまう!」という状態になってしまうのです。

 

無限遠ですら”近くて”見えないという老眼…実に恐ろしいですね。