雑学界の権威・平林純の考える科学

 twitterフォロワー同士の関係、つまり、互いにどのように繋がり会っているかということを図にしてみると、意外に面白いことが浮かび上がってきたりします。

 たとえば、芸人のいとうあさこ(@asako1970)さんのフォロワで繋がり方(グラフ)を描き出してみると、いくつかのグループが浮かび上がってきます。まず1番目は、キングオブコメディ高橋・ニッチェ江上からひぐち君にまで繋がる中堅芸人ライン。2番目は中堅芸人ラインからものまね芸人の “みはる” (@miharu_ufufu)の先に居る森口博子・竹本孝之といった80年代アイドルライン。そして最後の3番目は中堅芸人ラインからローラを介して繋がっているオリラジ中田・藤森といった第三極グループです。たくさんの人がきめ細かく繋がっているようで、けれど、こんな3グループに別れている姿が浮かび上がってきます。

 中堅オリラジ中田・藤森と中堅芸人ラインが直接繋がっていないのは意外です。そして、それらを結んでいるのがローラだというのは、意外でいてけれど納得させられるような気がします。また、中堅芸人ラインと往年のアイドルを結んでいるのが”みはる”だというのも、仕事内容などを考えると「なるほど、そういうものかもしれない」と感じさせられます。

 「私も芸能人のtwitter繋がりを眺めて・新しい発見をしてみたい!」と思ったあなたのために、有吉弘行・宮迫博之・ローラ・前田敦子・いとうあさこ・シェリーという6人をスタートにして「繋がり(グラフ)を示す図」を作り上げ、下に貼り付けてみました。超巨大なtwitter繋がりマップを眺めれば、意外な真実を見つけ出すことができるかもしれません!?

 港に泊まる大型船の舳先には錨(いかり)がぶらさがっています。 そんな錨を見て、こんな疑問を感じたことはないでしょうか。

「海の底から錨が抜けなくなり、船が錨を下ろした場所から動けなくなってしまうことはないのだろうか?」
 たとえば、海辺で釣りをする人たちが海に下ろす釣り竿の先は「釣り針(はり)」がぶら下がっています。 釣り針が海底に引っかかり・外れなくなってしまうことがありますが、それと同じように、錨(いかり)が抜けなくなり・錨を下ろした大型船が動けなくなってしまうことはないのでしょうか?

 実は、錨が引っかかってしまうような場所では、大型船は錨を下ろすことはできません。 錨を下ろすことができるのは海底が泥や砂で覆われている場所で、たとえば岩場のような場所には錨を下ろせないのです。

 こう書くと、錨がしっかり引っかからないような場所で錨が船を支え・止めることができるか?と不思議に思われるのではないでしょうか。 実は、大型船を留めているのは、海底に刺さる錨(だけ)ではありません。 錨を下ろした大型船を繋ぎ止めているのは、海底に打たれた錨の力が半分で、もう半分は錨までに至る鎖なのです。 鎖が海底に長く下ろされ、その鎖の重量・抵抗が錨と力を合わせることで、船を止めているのです。

 錨の数や重さは、船の種類で決まっています。 たとえば、鋼船規則で(両舷に)1トン弱の錨を持つ船は、660メートルの鎖を備えることになっています。 そして、1トンの錨は最大で1トン×3=3トンの重量に相当する程度の力を発揮します。 一方、海底に下ろされ(海底に横たわる)鎖の長さは例えば500メートル程度になります。 そして、その長さに相当する鎖の重量は3トン程度になり、この重量の鎖に働く海底との抵抗力は(およそ)3トン×1弱=3トン程度です。

 つまり、船が錨を下ろしている時、錨と(錨をぶら下げる)鎖が同じくらいの大きさの(船をその場所にとどめるための)力を発揮しているというわけです。

 いかにも、「力強そうな錨の形状」を見ると、嵐の中で船を守っているのは錨だけにも思えてしまいます。 しかし、実は「錨に繋がる長い鎖」も人知れず・けれど力強く船を支えているのです。

 テレビ朝日系列「マツコ&有吉の怒り新党」は、有吉弘行・マツコデラックス・夏目三久の3人が「視聴者が投稿してきた”怒ってること”」に関してトークを繰り広げるTV番組です。その「マツコ&有吉の怒り新党」の11月14日放映中、「(グレーのカーディガンを着た)夏目アナの脇汗染みがスゴかった」と話題になりました。確かに、右の画面を眺めてみると、夏目アナの左脇にはクッキリと脇汗染みが浮かび上がっていることがわかります。

 夏目アナの脇汗事故の一番大きな原因は、夏目アナが着用していた「グレーのカーディガン」にあります。 なぜかというと、実はグレー(灰色)というのは、脇汗染みが最も目立ってしまう「魔の色」なのです。 今回は「灰色の服が汗染みに弱い理由」を科学的に調べてみることにします。

 照明ライトや太陽の光といった白い光が「色が付いた服」を照らすとき、白い光は服繊維の中に入り、繊維中で方向を変えながら(散乱しながら)進みます。 そして、繊維中であまりに方向を頻繁に変えるため、通常、光は繊維の外にすぐ出てきてしまいます(光にとっては方向を変えまくっていたら、気づくと繊維の外に向かっていた…という具合です)。たとえば、右の画像は、(紫色の)服繊維内部に入った光軌跡をシミュレーション計算してみた一例ですが、白い光が紫色の繊維層に侵入した…と思ったらすぐに進行方向を変えて、少し紫がかった状態で繊維の外に出てしまっていることがわかります。 …こうしたことの結果、通常、白い光は「繊維の色=服の色」に色づくよりも前に服から出て、私たちの目に届きます。つまり、服の色は「白い色+(少しの繊維の色)=白がかった繊維色に見えることになります。

 ところが、繊維に汗が染みてしまうと、(繊維と汗の屈折率がさほど変わらないという理由により)繊維中で光が散乱しなくなります(参考:「水に濡れた白服が透ける理由」と「白色顔料の歴史」)。 その結果、汗が染みた服は「繊維本来の色」として見えるようになります。 すると、「汗が染みていない部分=白+(少しの)繊維色」の中に「汗が染みた部分=繊維本来の色」が浮かび上がることで、「汗染み」として目に見えるようになってしまうのです。

 ということは、「汗染みの目立ちやすさ」は、「白+(繊維本来の)○×色」と「(繊維本来の)○×色」の差が一番大きな色は何色か?という問題に置き換わります。 そして、白と最も違う色は…「そうだ黒に違いない!」ということにも気づくのではないでしょうか。 つまり、「白色に黒を混ぜた色=灰色(グレー)」の服が「一番汗染みが目立つ色」なのだろう、と思い至るはずです。

 実際、青色・紫色・灰色のセータで「脇汗染み」ができた時に「色がどう変わっていくか(色の変化)」のシミュレーションを行い、(おおよそ私たちが感じる色の差・違いをユークリッド距離で測ることができる)LAB色空間で眺めてみたものが右のグラフです。 「汗が染みる前の服の色」と「汗染みができた後の服の色」の「距離」が離れているものが、汗染みが目立つ(=色の違いが目に付きやすい)色ですから、灰色の服は(他の色の服に比べて)汗染みで大きく色が変わる、ということがわかると思います。

 夏目アナの脇汗事故はなぜ起こったか?…それは夏目アナが着ていたカーディガンの色(グレー=灰色)が原因です。灰色の服は汗染みに弱いのです。