雑学界の権威・平林純の考える科学

 少女マンガの定番ストーリーに、「ヒロインが眼鏡を外すと美人になる」というものがありました。 つまり、自分をブサイクだと思っている(あるいは周りから思われている)メガネを掛けたヒロインが、メガネを外した途端に美しく輝く、という鉄板展開です。

 そんな「メガネをとると美人になる」現象は、奇想天外なマンガの中だけの話かと思いきや、実は(「ホンマでっか?」的に)真実です。 「めがねっこ大好き。~ めがねを外すと美人になるは本当か!?」で行った研究報告のように、近視用メガネを掛けた人は、(メガネのレンズ効果によって)目を小さく見えてしまうためブサイクに見えやすく、メガネをとることで(対的に美人に見えるという現象が生じます。

 たとえば、下の画像は

  • 伊達メガネを掛けた女性
  • -1.0D(ディオプシー)の近視用メガネを掛けた女性
の(処理合成した)顔写真です。近視用メガネを掛けると遠目にも(瞳が小さく見え)ブサイクに見えてしまうことがわかります。

 

 近視の人が凹レンズである眼鏡をかけた場合には、その人の目が他の人からは小さく見えてしまう。実世界でも、少女マンガの世界でも大きな瞳は美少女の象徴であるが、近視の人が眼鏡をかけると、大きな瞳を持つ美少女でも小さな瞳になってしまうのである。近視の人の割合は国によって大きく違うというが、少なくとも現代の日本では近視の人の割合は圧倒的に多い。そんな近視の人が多い日本では「めがねを掛けることで目が小さく見えていた人が、メガネを外した途端お目々パッチリの美人になる」という現象はが起きやすい。つまり、「めがねを外すと美人になる」は実際に起こる現象なのである。

めがねっこ大好き。~ めがねを外すと美人になるは本当か!?

 しかし、「メガネをとると美人になる」現象の秘密は、実はこれだけではありません。 サイズが合わない近視用のメガネを掛けていると、目の間隔が妙に離れて平目顔に(外見上)見えてしまったり・目の感覚が過剰に狭まってプロポーションが悪いブサイク顔に見えてしまう…という現象もさらに起きてしまいます。近視用メガネをかけた人を眺めると、メガネレンズの内側にあるものが「小さく」縮小されて見えるのですが、縮小される時の中心位置はレンズ中心位置となります。
 すると、目の位置とレンズ中心位置が一致していないと、目が縮小されて見えるのと同時に、目の位置も移動して見えてしまうのです(参考:右図)。その結果、両レンズの大きさ・間隔が「本当の両目間距離」と違う”サイズが合っていない”メガネを掛けてしまうと、平目顔や寄り目顔といったブサイク顔に見えてしまいます。

 たとえば、下の写真は

  • -1.0D(ディオプシー)の近視用メガネを掛けた女性
  • メガネを外した女性
の(処理合成した)顔写真です。”サイズが合っていない”近視用メガネを掛けているとブサイクに見えてしまっていて、そのメガネを外すと美しく見えることがわかると思います。奇妙だった両目の間隔も自然なプロポーションになり、縮小されて見えていた瞳も大きくなり、まさに美人度がアップしています。

 

 近視用メガネは「瞳を小さく」見せるだけでなく、サイズが合っていないことにより「ブサイクな平目顔や寄り目顔」に見せてしまいます。 「メガネをとると美人になる」現象は、奇想天外なマンガの中だけの話かと思いきや…実は驚くべきかな真実だったのです。

 駅からどこか目的地に向かうときには、時間があれば「歩く」ものですし、時間がなくて急いでいるような場合には「走る」ものです。…それでは、どのくらい急いでいれば、「歩き」から「走る」に変わるものなのでしょう?つまり、「歩く」と「走る」の境界線は、どのくらいの「速さ(どのくらい時間がなくて急いでいる)」にあるのでしょうか。

 右のグラフは人が歩いたり走ったりする時の、移動速度(km/h)と体重あたり酸素消費量(ml / kg / min)を示したものです。わたしたちは酸素を吸ってエネルギーを生み出すのですから、つまりこのグラフは、わたしたちが歩いたり走ったりする時の、移動速度と消費エネルギーを示したものです。

 このグラフを眺めてみると、時速が約8kmより遅いのであれば歩く方が仕事率が高いし(効率が良い)、それより早い(急いでいる)のであれば歩くより走った方が効率が高くなる、ということがわかります。つまり、効率よく・楽に移動しようと思ったら、移動速度が時速8kmより遅くても間に合うようであれば歩いた方がいいし、それより急がないとダメなようであれば走った方が楽であるわけです。だから、もしも「歩くべきか、それとも、走るべきか…?」とハムレットが悩んでいたとしたら、「それはキミ、歩くと走るの境界線は時速8kmだよ」と教えてあげれば良い、ということになります。

 ちなみに、「早く歩く」といえば競歩です。競歩の速さは、時速15kmくらいだと言います。エネルギー消費量のグラフを眺めてみると、競歩はランニングより遙かにエネルギーを消費するシンドイ競技だ!ということも実感できるはずです。時速8kmの「歩くべきか走るべきか?の境界線」を超えて、「走った方がずっと楽なのに、そこをガマンしてシンドく歩き続けている」…それが競歩という競技だったのです。

 芸能人・アイドルの公称プロフィールには、かなりウソが混じっています。たとえば、395人のアイドルやグラビア・アイドルといった女性タレントのウェスト・サイズの頻度分布を眺めてみると(右図)、58cmの箇所に奇妙に不自然なピークがあることに気づかされます。そして、(赤線で描いた)自然な分布を基準にすると、ウェスト60~60数cmあたりが「妙に少ない」ように見えます。つまり、公称プロフィールのウェスト(cm)数値は本当の数値より少し小さめにしてあって、特にウェスト58cmというプロフィールが使われることが多い(あるいはアイドルたちが本当に頑張ってダイエットしてウェストを58cmに抑えている)、ということがわかるわけです。(ここで使ったデータは「アイドルプロフィール(スリーサイズ、カップ情報)」にあるものです)

 そして、ウェスト・サイズと同じように、バスト・サイズやヒップ・サイズにもやはり「ウソっぽい数字」は存在しています。 たとえば、395人の女性タレントたちのバスト・サイズ(cm)分布と自然な分布を比較してみると、80cmと88cmの箇所に、これまた奇妙なピークがあって、その80cmと88cmの前後に不思議に数が少ない谷間が存在しています。 つまり、バスト80cmと88cmというプロフィールの何割かはきっとウソで、それらの数値に近いあたりに、本当の(バスト・サイズの)数字はあるのだろう、という想像ができるわけです。

 バスト・ウェスト…ときたら、最後はもちろんヒップ・サイズです。 女性タレントたちの公称ヒップ・サイズは、バストやウェストに比べると、かなり自然な分布になっています。 大きく奇妙な箇所はありません。 しかし、よくよく眺めてみると、88cm に局所的なピークがあって、その前後には谷間があることが見て取れます。 つまり、ヒップ・サイズ88cmというプロフィールは、これまたちょっとあやしそうです。 また、90cmを超えるあたりが妙に少ないように見えますから、90cmを超えるウェストサイズは何とか80cm台に収めて(?)いるようにも見えます。

 どうやら、縁起が良く・末広がりを示す「八」という数字が、女性タレントたちの公称プロフィールには多く使われているようです。 バスト・ウェスト・ヒップ…といったスリーサイズに”8”という数字が混じっていたら、そのスリーサイズは「縁起物」ぐらいに捉え、その数字に込められた彼女たちの運掛けを応援した方が良いのかもしれません。