「潮の満ち引き」などを起こす潮汐力に関して「よくある疑問」が、「月に引かれてる」のに「反対側も盛り上がる」のはなんで?という疑問です。
月に引かれて、月に面した側の(海面や地面)が盛り上がろうとするのは納得できるけど、逆側も盛り上がるのは何だかよくわからない…という話をよく聞きます。そこで、今回は、「月に引かれてる」のに「反対側も盛り上がる」理由を図示してみることにします。
月による潮汐力を考えるため、まず地球と月が引き合いながら回転しているようすを描いてみました。それが、右の図です。地球と月は、(地球と月を合わせた)共通重心を中心として回転(公転)しています。そんな公転を地球上の各位置が行う時には、地表上の各点は同じ等速の円運動を行い、(その等速円運動する状態を基準とすると)どの点も「月がいる方向とは反対側に働く」同じ大きさの遠心力を受けることになります。そして、地球重心では、その遠心力は月の引力と等しい、ということになります。
さて、月と引き合いながら互いに周り合う地球上に働く力を描いてみたのが下の図です。(地面や海面を持ち上げようとする)鉛直方向の力を考えてみると、地表に働く力は「地球の重力」「遠心力」「月の引力」です。「地球の重力」「遠心力」は(実際には重力は場所毎に微妙に違いますが)どこでも同じで、「月の引力」は月との距離にしたがって異なり、月に近い側は強く・月に遠い側は弱い…ということになります。そして、月との公転による遠心力が地球中心での月の引力に等しいということも踏まえて「地球上の各位置での(地球中心に向かって働く)鉛直方向の力」を計算してみると(下図参照)、月の方を向いた側と月の反対側は「地球の重力から(地球中心と表面での)月の引力の差分を引いただけ弱い」ということになり、月を横に見るあたりでは、鉛直方向に働く引力は地球の重力と同じ、ということになります。つまりのところ、月の方を向いた側と月と反対側が、それ以外の場所より「鉛直方向下向きに働く力が弱い」ということになるわけです。どれだけ弱いかというと、「(地球中心と表面での)月の引力の差分だけ」になります。
そういうわけで、「月に引かれてる」のに「反対側も盛り上がる」わけです。…あるいは、こんな図を描かなくとも、「月に近い場所ほど強く引っ張られるのだから、月に向かう方向に伸び~るのが当たり前だよね」とも思えるかもしれませんね。
ジェット機が飛行場に着陸する直前、ウィーンという音をさせながら、翼の前後部分を伸ばし・広げていくきます。
その前後に伸ばされていく翼を眺め、「何だか隙間が大きく空いてるけど、本当に大丈夫かこの機体…。もしかして着陸失敗したりしないかなぁ…?」と感じて思わず不安になったことがある人も多いのではないでしょうか。
…しかし、実は飛行機が着陸時に伸ばす延長翼は隙間が空いている方が良いのです。
飛行機は翼の上下の圧力差から空に浮かび上がろうとする・上に向かう揚力を得ています。
この揚力は、飛行機の速度が遅くなると小さくなるので、速度を遅くする着陸時には、機体の後ろを下げ気味にして・翼が風を大きく受けるような体勢をとります。すると、
飛行機の速度が遅くても、高い揚力を得ることができます。
しかし、その一方で「失速」が起きやすくなります。
失速というのは、翼の上面に沿って空気が流れなくなってしまうことで、飛行機を持ち上げようとする翼の揚力が失われる現象です。もちろん、失速したら、飛行機は空中に浮かんでいることができず、下に降下(運が悪ければ墜落)してしまいます。
私たちが一見すると壊れているんじゃないか?と思ってしまいがちな、「隙間が大きく空いているように見える翼」は、この恐ろしい失速を防ぐために「隙間を空けている」のです。どういう仕組みかというと、翼に空いた隙間の間を通過した空気は、隙間を通過した後も翼上面に沿って流れるという性質(コアンダ効果)があります。このコアンダ効果を使うことで、つまり、翼に空いた隙間を通った空気が翼上面に沿い流れるようにすることで、「翼に沿って空気が流れなくなる」ことを防ぐ=飛行機の失速を防ぐわけです。
たとえば、下に貼り付けた翼周りで流れる空気を可視化した映像を見れば、翼の角度が立ってくると空気流が(翼から)剥離してしまうのに対して、翼の前後に隙間が空いていると、その隙間を通り抜けた空気が翼上面に沿って流れ、失速を防ぐことができていることがわかります。
飛行機が着陸時に伸ばす延長翼は、隙間が(心理的に)大きく見えて・心配になってしまったりしますが、意外なことに「隙間がある」方が実は良いのです。…次の飛行機の着陸に「隙間のある翼」を見たら、今度は心配でなく「安心」することができるかもしれないですね!
「短いスカートが身体に悪影響を与えることが科学的に証明されました。」というポスターを、学校の構内で見かけました。 ポスターの内容は、「(膝位置より15cm短い)短いスカートは体温低下を生じさせ、体温低下は免疫低下や血圧上昇を生じさせる」というものです。このポスター、「短」「悪」という2文字が強調されていて、短いスカートを履いた瞬間、悪の組織から恐怖の毒電波が飛んでくる…ような感覚に陥ります(特に右下のポスターは、悪の組織に誘われ・地球征服の手先にされてしまいそうな雰囲気です)。
スカート丈が短ければ、身体の露出面積は増えますから(「スカート丈の長短が衣服気候へ及ぼす影響について 聖徳栄養短期大学紀要 3, 27-31, 1971-03-20」によれば、身体の被覆率は、(半袖状態の)膝丈スカートで63%、膝上10cmスカートで57%、膝上20cmで52%となっています)、気温が低かったり・風を受ける状態では、短いスカートを履くと、身体から多少なりとも熱が奪われてしまうことでしょう。だから、寒い日には短いスカートは身体に優しくない…というのは、とても自然な話です。
しかし、寒い日には短いスカートは(身体が冷えて)身体に悪いということだとすると、「寒くない暑い日であれば、短いスカート丈の方が身体にいい」ということにもなりそうです。
たとえば、「(以前作成した)世界各国で調査された「気温と(その時期の衣服による)肌の被覆率」によると、気温が25℃なら肌被覆率は60%くらい、30℃なら50%ほどです。つまり、気温が暑くなると、衣服で身体を覆わず・露出するのが普通になります。
このデータをスカートだけに適用してみると、気温25℃ならスカート丈は膝上5cmくらい、気温30℃ならスカート丈は膝上20cm強くらいでも自然かも…ということになってもおかしくありません。
だから、コンクリートジャングルな日本の大都市で、夏の暑さが厳しくなっていく未来には、「長いスカートは身体に悪影響を与えることが科学的に証明されました」というポスターが学校港内に張られていたりするかもしれません。
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…それにしても、私が中学の時代には、「長いスカート」が「不良・スケバン」の象徴・悪の象徴とされていました。それとは逆に、今の時代は「短いスカート」が悪とされている…というのは、何だか不思議な心地です。