雑学界の権威・平林純の考える科学

 下に並べた10個の漢字(語句)は、日本でも有名な各種ブランドの中国語版名です。 どのブランドも、日本語名で言われれば、きっと知っているはずのブランドです。 …ここに並べた中国語版ブランド名10個全部を読むことができるでしょうか?

  1. 必勝客
  2. 喜力
  3. 家楽氏
  4. 愛百楽
  5. 楽天
  6. 百威
  7. 吉田超人
  8. 百事可楽
  9. 健怡可楽
  10. 機器猫

 10個の答はこうなります。必勝客はピザハットで、喜力はハイネケンです。 ちなみに、5番目の「楽天」は「ロッテ」で、日本の楽天株式会社とは関係ありません。

  1. ピザハット
  2. ハイネケン
  3. ケロッグ
  4. エバラ
  5. ロッテ
  6. バドワイザー
  7. ウルトラマン
  8. ペプシコーラ
  9. ダイエットコーク
  10. ドラえもん

 中国語のブランド名は、発音が近くて、かつ、縁起良い漢字を並べ作られます。 だから、「答」を眺めてみれば、どれも確かに「そんな風に読めそうな漢字の並び」になっていますから(機器猫と吉田超人は別にして)、「読み」を手がかりにすれば(あるいは機器猫のような意味合いから推理すれば)答がきっとわかるはずの問題です。

 家楽氏(ケロッグ)とか喜力(ハイネケン)とか、何だかとても新鮮に見えたりします。中国語(外国語)の読みを考えるパズル、結構面白いと思いませんか?

 建築基準法とミニスカートの幾何学による「35cm丈のミニスカートは絶対安全」という証明で、「階段の上をいる女性のスカートの内部が見えるか・見えないか」について考えました。そして、建築基準法施行令にもとづくと、公共の場所における階段の角度は上限で35度となり、さらに35度以下の階段では「(偶然、階段の角度と同じ数値である)35cm丈より長いスカートであれば、スカート内部の下着を覗かれてしまうことはない」という証明をしました。

 さて、階段ではなくエスカレータならどうなるのでしょう? 私たちが街中にある駅やショッピングセンターといった場所でフロアー間を移動する時には、階段でなくエスカレータを使うことも多いものです。階段の上なら35cm丈のスカートで大丈夫と言われても、さてエスカレータ上ではどうなるのか?という疑問が沸いてきます。 そこで、今回はミニスカートの幾何学でエスカレータ上のミニスカート女性を考えてみることにします。

 実は、エスカレータ上でも「35cm丈のミニスカート=絶対安全となる境界値」なのです。 なぜかというと、階段と同じくエスカレータの勾配にも上限が定められているからです。 建築基準法 施行令129条の12ではエスカレータの勾配は最大で30度となっています。ただし、建設省告示によって、エスカレータの速度が30m以下で揚程6m以下といったいくつかの条件を満たす場合には35度まで許されています。 つまり、公共の場所に存在する可能性のあるエスカレータの最大勾配は(建築基準法施行令で定められている)階段の最大勾配と同じだったのです。

 すると、「勾配角度」と「中身を覗かれないためのスカート丈条件」を三角関数を通じて結びつけるミニスカートの幾何学により、角度上限が35度以下のエスカレータでは「35cm丈より長いスカートであれば、スカート内部の下着を覗かれてしまうことはない」ということがわかるので、結局のところ、エスカレータ上では35cm丈スカートなら安全だということになるわけです。

 階段の場合と同じくエスカレータの場合でも、女性のミニスカートの内側を建築基準法が実は守っていたなんて、とても面白いと思いませんか?決まりの秘密に少しの科学を振りかけてみると、意外に興味深い答が出てきたりするのです。

 港に泊まる大型船の舳先には錨(いかり)がぶらさがっています。 そんな錨を見て、こんな疑問を感じたことはないでしょうか。

「海の底から錨が抜けなくなり、船が錨を下ろした場所から動けなくなってしまうことはないのだろうか?」
 たとえば、海辺で釣りをする人たちが海に下ろす釣り竿の先は「釣り針(はり)」がぶら下がっています。 釣り針が海底に引っかかり・外れなくなってしまうことがありますが、それと同じように、錨(いかり)が抜けなくなり・錨を下ろした大型船が動けなくなってしまうことはないのでしょうか?

 実は、錨が引っかかってしまうような場所では、大型船は錨を下ろすことはできません。 錨を下ろすことができるのは海底が泥や砂で覆われている場所で、たとえば岩場のような場所には錨を下ろせないのです。

 こう書くと、錨がしっかり引っかからないような場所で錨が船を支え・止めることができるか?と不思議に思われるのではないでしょうか。 実は、大型船を留めているのは、海底に刺さる錨(だけ)ではありません。 錨を下ろした大型船を繋ぎ止めているのは、海底に打たれた錨の力が半分で、もう半分は錨までに至る鎖なのです。 鎖が海底に長く下ろされ、その鎖の重量・抵抗が錨と力を合わせることで、船を止めているのです。

 錨の数や重さは、船の種類で決まっています。 たとえば、鋼船規則で(両舷に)1トン弱の錨を持つ船は、660メートルの鎖を備えることになっています。 そして、1トンの錨は最大で1トン×3=3トンの重量に相当する程度の力を発揮します。 一方、海底に下ろされ(海底に横たわる)鎖の長さは例えば500メートル程度になります。 そして、その長さに相当する鎖の重量は3トン程度になり、この重量の鎖に働く海底との抵抗力は(およそ)3トン×1弱=3トン程度です。

 つまり、船が錨を下ろしている時、錨と(錨をぶら下げる)鎖が同じくらいの大きさの(船をその場所にとどめるための)力を発揮しているというわけです。

 いかにも、「力強そうな錨の形状」を見ると、嵐の中で船を守っているのは錨だけにも思えてしまいます。 しかし、実は「錨に繋がる長い鎖」も人知れず・けれど力強く船を支えているのです。