「衛星放送を受信するためのアンテナが屋根に設置されている」というのは、よく見慣れた風景です。 衛星放送は、地球上で周回運動をしている人工衛星から電波放送が送信されるので、衛星放送を観るためには「放送衛星」の方角にアンテナを向け続けなければなりません。となると、衛星の動きに合わせてアンテナの方角を変えなければならないか?…というと、放送衛星は、赤道上空の高度約3万6千キロメートルを地球の自転と足並みを揃えて円軌道を描く静止軌道を描いていて、つまり、地球上から見ると空の一点で動かず止まっているように見えるというわけで、衛星放送受信用アンテナは「天空の(赤道の遙か上空に相当する、衛星が位置する)ある一点に向けてあれば良い、というわけです。
こうした静止軌道を描く人工衛星の中で、最も巨大であると言われているのが米国の偵察衛星「ORION」シリーズです。 何しろ、直径が100メートルに達する…つまり、サッカー場(サッカーの競技スペース)と同じくらいの超巨大さなのです。 このORIONシリーズ、SIGINT- Signal Intelligence – 衛星で敵の通信やレーダーなどを傍受する偵察活動をしていると言われていますが、役割は謎に包まれてるものの、すでに静止軌道上にいくつも打ち上げられ地球上の「何か」を偵察し続けています。
約7年前、アルミホイルで作った自作パラボラアンテナを使い、他者のインターネット通信機器(ルーター)から出る微弱電波を増幅してインターネット接続を行った(らしい)というインターネット・オークション・サイトへの不正接続事件がありました。 その事件で使われた「アルミホイル製の自作パラボラアンテナ」の大きさが直径30センチメートルなので、ORION衛星のパラボラアンテナ直径100メートルというのは直径にして333倍、面積にして11万倍にも達します!…ということは、もしも、直径30cmのアルミホイル自作パラボラアンテナが数百メートル離れた場所からルータに接続可能だったとしたら、ORIONなら(その11万倍程度の)赤道上空3万6千キロメートルの上空からも、あなたの自宅ルータに侵入可能かもしれません!?