雑学界の権威・平林純の考える科学

 「短いスカートが身体に悪影響を与えることが科学的に証明されました。」というポスターを、学校の構内で見かけました。 ポスターの内容は、「(膝位置より15cm短い)短いスカートは体温低下を生じさせ、体温低下は免疫低下や血圧上昇を生じさせる」というものです。このポスター、「短」「悪」という2文字が強調されていて、短いスカートを履いた瞬間、悪の組織から恐怖の毒電波が飛んでくる…ような感覚に陥ります(特に右下のポスターは、悪の組織に誘われ・地球征服の手先にされてしまいそうな雰囲気です)。

 スカート丈が短ければ、身体の露出面積は増えますから(「スカート丈の長短が衣服気候へ及ぼす影響について 聖徳栄養短期大学紀要 3, 27-31, 1971-03-20」によれば、身体の被覆率は、(半袖状態の)膝丈スカートで63%、膝上10cmスカートで57%、膝上20cmで52%となっています)、気温が低かったり・風を受ける状態では、短いスカートを履くと、身体から多少なりとも熱が奪われてしまうことでしょう。だから、寒い日には短いスカートは身体に優しくない…というのは、とても自然な話です。

 しかし、寒い日には短いスカートは(身体が冷えて)身体に悪いということだとすると、「寒くない暑い日であれば、短いスカート丈の方が身体にいい」ということにもなりそうです。
 たとえば、「(以前作成した)世界各国で調査された「気温と(その時期の衣服による)肌の被覆率」によると、気温が25℃なら肌被覆率は60%くらい、30℃なら50%ほどです。つまり、気温が暑くなると、衣服で身体を覆わず・露出するのが普通になります。
 このデータをスカートだけに適用してみると、気温25℃ならスカート丈は膝上5cmくらい、気温30℃ならスカート丈は膝上20cm強くらいでも自然かも…ということになってもおかしくありません。

 だから、コンクリートジャングルな日本の大都市で、夏の暑さが厳しくなっていく未来には、「長いスカートは身体に悪影響を与えることが科学的に証明されました」というポスターが学校港内に張られていたりするかもしれません。

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 …それにしても、私が中学の時代には、「長いスカート」が「不良・スケバン」の象徴・悪の象徴とされていました。それとは逆に、今の時代は「短いスカート」が悪とされている…というのは、何だか不思議な心地です。