201309.16
台風が成長していくエネルギー源は「雨粒」だ!?
台風第18号が近づき、雨風が強くなっています。 遙か南方の海で生まれた台風が、数千キロメートルもの距離を移動しつつ、どんどん大きく成長していくのは不思議にも感じられます。 しかし、熱帯の海上で生まれた低気圧が「どんどん成長していく」のは、メカニズムを考えてみれば必然です。
「湿った暖かい空気」は周囲の空気よりも密度が低くいため、上空に上昇すると同時に(上空は気圧が低いので)膨張して温度が(少し)下がります。すると、この空気に混じっていた水蒸気が凝結して水滴になり、その際に「潜熱」が生じます*。この潜熱が、さらに空気を(周りより)温め・密度を下げ、上昇気流や低気圧を加速させていきます。つまり、「暖かい湿った空気が上昇→水蒸気が水滴になり、その時発生する熱が空気を暖める→ますます上昇気流・低気圧の発生が加速する」という風になるわけです。
…というわけで、暖かくて(暖かい水=海の上ですから)湿った空気が上昇すると、暖かく・湿った空気は、含んでいる水蒸気を雨粒に変え・熱をどんどん発生させ自らの気圧を下げて、そして成長し続けていくのです。台風を大きく成長させるエネルギー源は、「海上から運ばれた水蒸気が雨粒になる時に生じる熱エネルギー」なのです。…何だか、台風が巧妙な超大型エンジンみたいに思えてきますね。
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* その逆に、水滴が蒸発して水蒸気になる時には熱を奪います。だから、たとえば私たちが汗(水滴)をかいて、その汗が蒸発するときに熱を奪うため、私たちは体の温度を下げることができるのです。